ぽわろんの推理ノート

仕事について、人生について、人間のあれこれを考察します

【映画・ドラマ・原作比較】『ホロー荘の殺人』アガサ・クリスティ

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こんにちは、ぽわろんです。

 

アガサ・クリスティのミステリ小説が好きで、よく読んでいるぽわろん。

それと同時に、映画化やドラマ化された作品は「映像ではどうなっているのかな?」と、ついつい気になって観てしまいます(*'▽'*)

 

もっとクリスティ関係の記事を書きたいと思っていたのですが、何しろ作品についての魅力を語るのが下手でして…。

 

いやしかし、書きたい。

ということで少しずつ、挑戦してみます(*^▽^*)

 

今回は名探偵エルキュール・ポワロ物の、『ホロー荘の殺人』をご紹介します。

 

『ホロー荘の殺人』について

ホロー荘の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

ホロー荘の殺人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

 

ポワロ物と言っても、この作品、クリスティが「ポワロを出さなきゃ良かった」と後悔したとも言われており、ポワロの陰は非常に薄いです。笑

というのも、探偵小説というよりは登場人物の内面をじっくり描いた恋愛小説のように読める作品だからです。

 

実はぽわろんが最初にこの小説を読んだ時、特にこれといった印象も受けず、地味だな〜と思った記憶があります。

しかし、約10年経って読み返してみると、イメージが全然違っていてびっくり。

こんなに、深く心に残るとは、思いませんでした。

 

ここに出てくるのは登場人物の様々な「愛の形」です。

それがいまいち理解できないと、登場人物の行動に全く共感できないんですね。

でも、自分も大人になって、色々な人の感情が理解できるようになった今、全部「わかる!」という状態になって、はじめてこの作品の良さがわかるようになったのです。うーん、クリスティは深い…。

 

例えば、ヘンリエッタという女性。

彫刻家であり芸術家らしい感性やこだわりを持っている一方で、誰とでも気持ちを汲んでうまく会話ができる大人な女性。

車を飛ばすのが好きな豪気なサバサバしたところもあります。

しかし、彼女はジョンという男性と不倫の関係にあります。

彼女はジョンがなぜ愚鈍なガーダと結婚したのかも理解しているし、ガーダとも仲良く接することができます。

そして、医者であるジョンの心を一番占めているのはどの女性よりも、一緒に難病に立ち向かう患者のおばあさんだということも理解しています。

ジョンの生き方を愛している、それがヘンリエッタなのです。

 

この話は、一族が一堂に会した週末、ジョンがプールサイドにて銃殺され、側には銃を握りしめた妻のガーダが呆然と立っていた…という事件にまつわるお話です。

 

人の行動の理由を理解するには、人の内側を理解できるかです。

ジョンは不倫してる上に、昔の彼女と再会して関係を持ってしまう「最低の男」と捉えてしまうかもしれません。

しかし、その心情を追っていくと、彼の人生感がわかってくるのです。

 

映画版について

アガサ・クリスティー 華麗なるアリバイ [DVD]

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さて、そんな小説ですから、映像化するのは難しいだろうなと思っていました。

映像では人の内面をそこまで細かく描くのは難しいですからね。。

 

そして、映画『華麗なるアリバイ』(2008)を観ました。

こちらは『ホロー荘の殺人』のお話を基にしたフランス映画で、探偵のポワロは登場しませんし、登場人物の名前もみんな違います。

 

そして、思った通り、全然原作の良さは伝わってきませんでした(/ _ ; )

単なる愛憎ドタバタ劇に終始してしまっていて、感情移入もできないし、ちょっとオシャレ感を出しただけの薄い仕上がりになっています…これはひどい

クリスティというだけで期待して観てしまうのですが、映像化の中でもとりわけ期待ハズレの作品でした。

 

ドラマ版について

そして、性懲りもなく、ドラマ版”The Hollow”(2004)も確認しました。

こちらはぽわろんが好きなドラマシリーズでデヴィッド・スーシェ演じる名探偵ポワロが有名なものです。

 

映画版と比べて、こちらの方が大分いい感じです(*'▽'*)

ヘンリエッタも、とっても綺麗な女優さんでイメージぴったり。

他の登場人物もジョンはただの最低男になっちゃってるけど…まあイメージに近いです。

やっぱり内面をじっくり描くのは難しく、端折られてることは多いですが、それはドラマにするにはしょうがないところ。

ただドラマ版では、変えるところをなるべく「改悪」にならないように配慮しており、原作への愛情が感じられるのですね。

原作よりもポワロの存在感もあるし、ヘンリエッタのポワロへの挑戦的な態度もちゃんと彼女の魅力と、行動の理由付けになっています。

 

そして、ラストの描き方もちょっと違うのだけど、ドラマの方がキレイな終わり方だったりして…と思うほどでした。

 

小説を読まない方には、ぜひこちらのドラマ版をオススメします♪

 

最後に

基本的にはやっぱり原作が好き!となってしまうぽわろんですが、映像には映像の良さがありますね。

広大な景色とか屋敷とか街の様子とか、そういうのが観られるのはステキです。

 

『ホロー荘の殺人』のように、恋愛小説ぽいクリスティがお好きな方は『杉の棺』もおススメです。

杉の柩 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

杉の柩 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

 

こちらもいつか紹介できたらいいなと思います♪