「行動観察」はあらゆる仕事現場で人を幸せにする
こんにちは、ぽわろんです。
今日は人間の行動と仕事について。
『ビジネスマンのための「行動観察」入門』(講談社現代新書)
を紹介したいと思います。
本の概要
松波さんは様々な現場で、人を観察し、仮説を立て、改善点をアドバイスして取り入れてもらうといった、「行動観察」をビジネスにしています。
この本では、9つの現場でどのような人たちに密着し、どのような業務改善を行なったかがストーリー仕立てで紹介されています。
読み物としても、面白く読めますし、時に人々の仕事にかける思いにうるっと感動してしまう場面もあるほど話に入っていけます。
9つの現場とは、
- ワーキングマザーの家
- 商品展示イベント会場
- 銭湯
- 営業
- オフィス
- 飲食店
- ホテル
- 工場
- 書店
と、多岐に渡りますので、きっとみなさんの仕事に関係するものであったり、身近なものもあるのではないでしょうか。
私はどの話を読んでも、面白いと感じましたし、得るものも多かったです。
入門というだけあって、「行動観察」という分野を体系的に説明したものではなく、どうしてこういう調査を行なったか、その時どう感じたか、反応はどうだったかといった、ありのままを紹介する取っつきやすい内容になっているのも興味を引かれる理由です。
例えば、イベント会場で人の流れを観察し、目的の場所で立ち止まって見てもらうにはどうするか。
まず現状を見て、仮説を立てます。
説明ボードを設置する位置や説明員の存在まで、人の心に悪い影響を与えているものを改善する案を考えます。
その案を実行に移してもらい、効果を検証する、という流れで現場の悩みに答えていきます。
他にも経営者が持つ様々な悩み、例えば優秀な営業マンのノウハウを他の営業マンに伝達したい、オフィスの残業を減らしたい、工場のミスを減らしたいといった事、全てを「行動観察」によって解決していくのがこの本の内容です。
一番心に残ったこと
私がこの本を読んで大いに感銘を受けたのは、この松波さんという方の人間性、人柄がとても素敵だということです。
観察対象の方はその道のプロなのだから、自分のような素人が改善を提案するのはおこがましいという、相手を敬い、自分は勉強させて頂いているのだという姿勢をくずさないのです。
なので、仮説を立てた後、いかに相手に改善案を受け入れてもらえるかに心を砕いて、伝え方に工夫をされています。
その姿勢ゆえに、どこに行っても相手の信頼を勝ち得ることができ、表面的な観察ではなく深い本音の部分も見せてもらえるのです。
さすがは行動観察のプロ。
人間を良く知っているからこその振る舞いだと思います。
『人を動かす』という著書で知られるカーネギーさんは、
人は誰でも他人より何らかの点で優れていると思っている
と言っています。
この人間の本質を理解し、尊重しているのがわかります。
そして、松波さんがいつも「目の前の人をいかにして幸せにするか」というマインドを持っていることも素晴らしいと思いました。
実際に松波さんが観察した対象で、救われた方も多いのではないでしょうか。
例えば、ワーキングマザーや工場で働く人は100点が当たり前で、完璧にやっても誰からも評価をされない、95点だと人から文句を言われているという実状に気づきました。
それを指摘されたご本人はこの理解あふれる言葉に救われた気持ちになったでしょう。
そして、そのように理解し評価することで、モチベーションを高めてもらうことこそが仕事の成果に大きく関わってくるものなのです。
これは、人間の本質だと思います。
そういう意味で、「行動観察」はあらゆる仕事現場で人を幸せにするという結論が見えてきました。
「行動観察」は真似できるか
このようにあらゆる現場で使えるスキルなら、自分の仕事や生活でも役立てたい!と思いますよね。
では、「行動観察」は自分にも真似できるのでしょうか。
私がこの本を読んで真似が難しいと感じたのは、観察をして、なぜ人がこのような行動をするのかという仮説を導き出すところです。
松波さんがこれをできるのは、心理学など人間の行動に関する知見を持っているのと、数々の現場で経験を積んでいるからだと思います。
(事実、現場で求められることのハードルがいかに高くても、松波さんは自分が成長できる、と喜んで立ち向かっていきます。)
少しでも真似をしたいと思うのなら、普段から人を見て「なぜ?」と理由を考えるトレーニングが役に立つように思います。
ですので、ぽわろんはますます人を知ることをライフワークとして取り組んでいきたいと思いました!