ぽわろんの推理ノート

仕事について、人生について、人間のあれこれを考察します

Book review : 先入観が180度変わる面白さ The Wife Between Us

こんにちは、ぽわろんです。

 

最近スマホKindleアプリで洋書を読んでいます(*'▽'*)

 

前回レビューした"Our House"で心理スリラーの面白さにはまってしまいました。

poirotdamchan.hatenablog.com

 

そこで、次も同じく心理スリラーの作品を読みましたので、本好き&英語学習者の視点でご紹介します。

 

本の概要

The Wife Between Us: A Novel (English Edition)

The Wife Between Us: A Novel (English Edition)

 

【タイトル】The Wife Between Us

【著者】Greer Hendricks, Sarah Pekkanen

【出版社】St. Martin's Press

【発売日】2018/1/9

【ページ数】416ページ(紙の本の長さ)

【ジャンル】心理スリラー、ドメスティックスリラー

 

あらすじ

最初に三人称で語られるのはNellie。彼女は保育園で働く女性だが、投資銀行家の一流ビジネスマンであるRichardと結婚間近。Richardは前妻と別れて若くて美しいNellieを特上に扱っている。幸せいっぱいであるはずのNellieだが、誰かにつきまとわれているような不安を感じている。

次に語り手として登場するのはVanessa。彼女はRichardと7年間の結婚生活の後に離婚した元妻。今は親代わりの叔母と生活しながら、デパートで販売員をしている。現在の彼女は元々の美しさは影を潜め、精神不安定で仕事にも支障をきたす程。Richardの再婚相手にどうにか近づこうという妄想めいた意識が心を占めている。

 

第一部はこの三人称の語りとVanessaの一人称の語りが交互に繰り返されます。

「Richardに執着した元妻が嫉妬に燃えてNellieに近づき、再婚を阻止しようとしている話」それがこの本の第一印象です。

Vanessaの思想は全てにおいて被害妄想なのか、狂気にしか見えません。

しかし、真実は…

 

感想

この本は出版社の編集者であるGreer Hendricksと作家のSarah Pekkanenの共著だそうです。

読者に謎をしかけるミステリーは、緻密でなくてはいけません。読者を撹乱しながらも、あらゆる場所にヒントを散りばめ、見事に辻褄を合わせて伏線を回収する。その過程でいくつもの驚きと意外性を読者に与えてくれる、これが優れたミステリーだと思います。その意味で、細かなプロットを作り上げるには1人より2人の方が緻密な作業ができそうですよね。エラリー・クイーンとか岡嶋二人とか…(*'▽'*)

 

何が言いたいのかというと、この作品もさすがと言うべきか、良く練り上げられたプロットだということです。

こういった語り手にギミックが効いている、叙述トリックと言われる作風に慣れ親しんでいるぽわろんも、しっかり騙され、大満足の面白さでした。

 

最後は寝不足になるほど一気読みしてしまいました。

 

そして、自分がどうしてこのようなギミックの効いた作品が好きなのか、考えてみました。

それは表面から見た人や物事と、その本当の姿が違っているということは現実生活のそこかしこにあって、だからこそ人間は深くて面白いと思うのですが、その奥深さや複雑さを本の中で体験でき、自分の先入観を思い知ることができるからかなと思います。

また、それが物語にも深みを与えて、より人間の繊細な心理を表現できると思うのです。

例えば、語り手があまりにも実直にオープンに心の中を語るよりも、嘘をついたり隠したりした方が現実の人間の姿に近いと思うんです。

なぜ隠したのかという語り手の行動に注目すると、そこには繊細な理由(直視するのがつらくて語れない、認めたくない、など)がある事が推測でき、それがまた物語に深みを出すと言いますか…そこまで狙って書ける作者の手腕に感嘆してしまうんですよね。

この作品の中でも、 VanessaがRichardに対して感じる気持ちは、すごく表現が難しいんです。自分でも勘違いかな?と思うくらいに。

女性の視点で、そんな繊細な恐ろしさを非常に緻密に描いた秀作と思います。

 

とにかく、好みの作品でした!

そして前回読んだ"Our House"よりも救いのある読後感がまた好きな理由の一つ。

内容も家庭、人間関係の中で終始するスリラーなので共感できます。

 

英語について 

英語は割と理解しやすい印象で、読むのが相変わらず遅いぽわろんでも、物語に没頭してからは一気に読み進めることができました。

 

これが洋書を読んでみて面白いと感じるところで、知らない単語がわんさか出てくるので最初はKindleで辞書の意味を表示させながらゆっくり読んでいるのですが、後半は知らない単語の意味を調べるよりも「先を読みたい」という気持ちが勝って、スピード感を持って読めるんです。

 

知らない単語の意味を調べるのも、意味を調べずに推測しながら読むのも両方楽しめるのが自分にとっては面白いなと。

次に同じ単語に出会ったときには、調べずに読めるかもしれないと思うとさらに楽しみです。

 

そして、今回も基本動詞の幅が広がるのを感じました。

squint((眉根を寄せて)見る)、scribble(~を走り書きする)、jot(~を手早くメモする)、hurl(~を強く投げる)など、自分では普段watch、write、throwなどといった動詞しか使わないので、まだまだ新鮮です(^◇^;)

こういった動詞は、他の作品を読んでいても頻繁に出てくるので、いつか自然に身に付きそう、と期待しています。

 

最後に

自分の面白い!と思える本に出会えると、英語の学習をしているという感覚からは離れ、単純に洋書の世界を楽しめるという経験ができました。

やっぱり語学学習は、遠回りかもしれませんが、楽しく継続できる方法が一番合っているかなと思いました(*^▽^*)