正義とは何かを考える『検察側の罪人』雫井 修介
こんにちは、ぽわろんです。
雫井 修介さんの『検察側の罪人』を読みました。
きっかけはタイトル。
これは、アガサ・クリスティの短編小説・戯曲の『検察側の証人』と関係ある?違う?
気になって、つい手に取ってしまいました。笑
このクリスティ作品との関連は結局のところ不明です。お話は全く違いました。
しかし、雫井さんの作品も『犯人に告ぐ』、『クローズド・ノート』、『火の粉』と、今まで読んだものは非常に心に残っているものばかりです。
熱い警察小説から、感動的な人間ドラマ、人間の怖さまで描ける多才な作家さんというイメージです。
映像化されているものも多いですね。
なので、クリスティの要素がなくても(笑)、面白いに違いありません。
本の概要
東京地検のベテラン検事・最上毅。
彼に憧れて弁護士ではなく検事の道を選んだ若手の沖野啓一郎。
ついに最上と同じ刑事部に配属され、希望とやる気に満ち溢れている。
そんな中、ある殺人事件で捜査線上にあがった松倉という男。
最上は過去に起きた少女殺人事件で、松倉が有力な被疑者でありながら、ついに裁くことができないまま時効を迎えたことに強い思いを残していた。
沖野は今回の事件を担当することになるが、徐々に捜査に違和感を感じていく…というお話。
最上と沖野、この2人の視点から交互に物語が進んでいきます。
感想
読み味は決して良くありません。
後半になるにつれ、最上に感情移入しても、沖野に感情移入しても、悲しさや悔しさで重苦しい気持ちになっていきます。。
しかし、その結末を読まずにはいられません。
ストーリー的にはちょっと現実にはあり得ないような話ではあります。
しかし、どんな人間でも何がきっかけで誤った方向に行ってしまうかわからないし、引き返せない事態に陥らないとも限らない、そんな人生の悪夢のような側面を捉えているという意味では完璧な展開。
本当の意味での正義とは何なのか。
一体何が正解なんだろうか。
それぞれの立場で正義に燃える2人の男と、その周りを支える人々、悪を体現する人、法をビジネスと割り切る人、様々な人を描きながらそんなことを考えさせる、力強い作品でした。
読んで後悔なしです。
映画化されるらしい
読み終えてから知りましたが、この作品も映画化されるようですね。
2018年8月24日に公開だそうです。
木村拓哉さんと言えば、テレビドラマHEROで演じた検察官役のイメージが強く、渋さが光る最上とは全く結びつかなかったです(^^;;
果たしてどんな最上が見られるのか。
沖野を支えるキリッとした事務官の沙穂役が吉高由里子さん。
ぽわろんはこの作品、沙穂が登場するシーンが好きでした。
頭が良くてソツがなく、でも温かみを感じる素敵な女性で、重苦しい雰囲気の中で救いとなる存在です。
ハードボイルドな警察小説などにもこういう女性がよく登場しますよね。
ぽわろんはこういう女性がいつも好きになってしまいます。笑
関係ないですが(*´∇`*)