ぽわろんの推理ノート

仕事について、人生について、人間のあれこれを考察します

日本語教育能力検定試験に独学で合格するためにやったこと

こんにちは、ぽわろんです。

今年の10月に「日本語教育能力検定試験」という試験を受け、ようやく嬉しい結果が返ってきました!わーい!

1年にたった1回しか受験機会がないし、試験時間は4時間にも及ぶ疲労困憊の試験なので、できれば1回で合格したいなと思っていたのです。これで一安心です。良かった〜

日本語教育能力検定試験の結果

この試験、めちゃくちゃアナログで、願書を書店で購入して、試験料を銀行で振り込んで、書留郵便で申込みするというのにもびっくりしましたが、結果発表も郵便、しかも成績(得点)も通知されないとは…!とちょっと残念です。(来年度からオンライン申込みが始まるみたいですが)

なので、しょうがない。12月23日に公式解答が発表されたので、自己採点しました!

http://www.jees.or.jp/jltct/

マークシートの正答率は

試験I 80/100問 80.0%

試験Ⅱ 34/40問 85.0%

試験Ⅲ 75/80問 93.7%

合計 189/220問 85.9%

でした! あとは記述問題(論文)ですが…自分では評価できません笑

しかし、思ったよりも正解できていて嬉しいです。特に試験Ⅲは覚醒してますね。

本番では最初の90分で試験Iの100問を解かなくてはいけなくて、かなり急いだつもりでしたが時間が足りない!という事態になりました。自信がない問題も多くて、「これは落ちたな…」と午後の試験Ⅱを受けずに帰ろうかと一瞬迷ったくらいでした。お昼休みしょんぼりとして過ごしました。

しかし試験Ⅱでは落ち着いてできましたし、試験Ⅲは時間が余るくらい余裕を持って取り組めたので、巻き返せたのかなと。諦めなくて良かった…

日本語教育能力検定試験を受けた理由

もともと日本語学校で教える日本語教師を目指しているわけではないので、資格の必要はないとはいえ、趣味でオンラインの日本語チューターを始めて2年、そろそろ体系的な日本語教育の勉強をしてみたいなと思ったのが資格取得を目指したきっかけでした。

日本語の文法とか、ちゃんと説明できるようになりたいですし、生徒さんに合った学習法や、発音の指導などもできたら幅が広がりますよね!

しかし、日本語教師の養成講座に通うには費用も時間もかかるし、ぽわろんには無理そうです。そこで、独学でなんとかしましょうと決意したのがちょうど一年前でした。

独学でやったこと①赤本

独学するに当たって、まずは調べるところから。色々な方のブログやYouTubeを参考にさせていただき、自分で必要な参考書を厳選しました。

最初に購入したのは「赤本」と呼ばれる王道の参考書。 『日本語教育能力検定試験完全攻略ガイド 第5版(ヒューマンアカデミー著)』

500ページを超えるボリュームに、試験の全てが詰まっています。一から独学で始めるという方は最初に全部目を通すことをお勧めします!

しかし実はですね、ぽわろんは本屋さんでこちらの本を見た時に「わ、でかい!」と思って購入を見送りました。B5版なんですよね。主に勉強できるの通勤電車の中なので、これ持ち運ぶのかぁ、電車で開くのかぁと思っただけでテンションが下がってですね…

ということで、私はDMMブックスで電子書籍版を購入することにしました。これはこれで、スマホで見るには小さいし、章末問題やるときに解答ページと行ったり来たりするのが面倒でしたが、重いよりマシだ!と思い乗り切りました。

大体、1月と2月の1ヶ月半くらいで1周しました。特に音声の分野が難しくて、(知らない発音記号がたくさんでてきて)ぐぬぬとなりましたが、初めて知ることばかりで面白く読めました!赤本が面白かったと言うと、「意味がわからない」という人もいるので人それぞれかな。きっとぽわろんにとって、言語学ってもともと興味がある分野なんでしょうね。知的好奇心が満たされる書籍でありました。はい。

8月〜9月に2周目を読みました。他で色々勉強した後なので1周目よりもスイスイと読めました。

独学でやったこと②過去問

過去問は公表されていないので、これもまた購入が必要です。1年分で1冊の本なのですよ。量が多くてたじたじしますね。

とりあえずこの時期に買えた最新の令和2年度、令和元年度、平成30年度の3年分を入手。 令和3年度の過去問は願書を購入した6月末に一緒に入手しました。つまり、全部で4年分ですね。

まずどんな問題が出るのかを把握するために早いうちに1年分やりました。ものすごく時間がかかって、何日にも分けてようやく終わりました。

6割〜7割というまあまあ解けてはいる感じなんですが、赤本を1周したくらいではとにかく覚えられていない、記憶に定着していないな〜と実感。

それから過去問はしばらく放置して、再び取り掛かったのは夏でしたね。そろそろ解けるようになったかな…と思いきや、令和3年度が一番難しくてボロボロ。

そんな時、「過去問を通しで解くのは直前にとっておいて、問題毎に数年分解いていくといいよ」とTwitterでアドバイスをいただきました。つまり、令和3年の午前Ⅰの大問1を解いたら、大問2に進むのではなく、令和2年度の午前I大問1、令和元年度の午前I大問1を解いていくという感じです。毎年、大問1は文法問題、などと出題傾向が同じですので、同じ範囲の問題をまとめて解くことで、ひとつずつ苦手を潰していけるという訳です。

1日でやる量としてもちょうど良かったので、それからは毎日大問を1つ、4年分(大体20問くらい)を解いていくことにしました。過去問からしばらく逃げていましたが、この方法で再びモチベーションが保てて良かったです!

過去問をやったのはこれくらいです。4年分を2周〜3周くらいですかね。

過去問には解説がついていなくて大変つれないです。 なので、解説をしてくださっている先生方のサイトを参考にさせていただきました。

nihongonosensei.net

www.hamasensei.com

独学でやったこと③YouTube

ありがたいことに、YouTubeで大変わかりやすい解説や、練習問題を配信してくださっている先生方がいます。赤本でわからなかった点が、動画を観て理解できたということもしばしば。

独学するなら、なるべくたくさん観ることをおすすめします!

お世話になったチャンネルをご紹介します。

大根先生

わかりやすいまとめ資料、予想問題など、試験対策に特化した動画を数多くアップされています。試験直前は練習問題の動画を繰り返し観ながら最終確認をしました。

ももこ先生

自分の経験を交えてとにかく噛み砕いた説明をしてくださるのがわかりやすいです。日本語教育能力検定試験に特化したまとめ動画も多数アップしています。

はま先生

過去問の解説を動画とWebサイトでわかりやすくしてくださっています。また、赤本で音声の分野がさっぱりだった時、助けられたのがはま先生の解説動画でした。

こせんだ先生

文法項目について、板書しながらわかりやすく解説してくださいます。モダリティとか、撥音の解説は重宝しました。

国立国語研究所

言語の研究をされている方の講義が無料で聴けるような贅沢な動画。「連濁」についてかなり理解できたのもこちらの動画のおかげです。

独学でやったこと④用語集

赤本で覚えきれていないことをさくさく復習したいなと思って購入したのが『日本語教育能力検定試験に合格するための用語集(アルク)』です。

とにかく暗記が苦手なので、これは持ち運びしやすく、何周もすることができて便利でした! 試験当日にも持っていき、休み時間に眺めていたら、ちょうど読んだところから出題されたりしてラッキーでした。

それでも、本番の試験では初めて聞いた用語が出題されたりしましたが、何問か落としたくらいだったので十分カバーされていると言えるのではないかな。

独学でやったこと⑤自分でnoteにまとめる

赤本を1周した後、もっと自分の理解を深めて用語を暗記するにはどうしたらいいかと考えました。

他の方は結構ノートにキレイにまとめる、というのをやっている方が多いようでした。書くと記憶に定着しますし、後で見返せますよね。

さっそくルーズリーフとペンを用意して書いていきましたが…早くも数ページで挫折。赤本をただ書き写してるようで、これだと500ページくらい書き写すの…?と気が遠くなるようでした。

そこで、思いついたのが、ブログに書くという方法。ただの書き写しはつらいけど、小話を入れながらブログを書くと思えば、私の好きな分野です。

3月〜5月の間にnoteというサイトに46本の記事を書きました。

この後、やはりまた更新がストップしてしまいましたが、私が覚えたかった範囲は結構まとめたことが役立ったので良かったかなぁと。 やっぱり書き物は時間がかかっちゃいますね。

ひっそりと書いていたので、名前が違いますが、よろしければこちらから読めます。

独学でやったこと⑥音声の表を丸暗記

試験直前の10月に特に対策したのが午後IIの音声問題です。

問題3は調音点と調音法の問題ですが、これがどうにも苦手で、表を見ながら対応させないと解けない!と気づき、本番でも自分で問題用紙の余白に表を書くことにしました。

これが子音の表

母音もイエアオウの順番で舌のの位置と高さを書けるように。

この表を10月は毎日1回練習して、すばやく書けるようにしました。

本番の試験では、なんと隣の人が試験開始と言われる前に表を書き始めましてドキドキしました(隣からシャーシャーという線を引く音がして緊張高まる私)

フライングはあぶないので、良い子はちゃんと試験開始と言われてから、説明の音声が流れている間に書きましょうね。ちゃんと事前に過去問のCDをかけて、時間内で書けるか確認しておくとよいです。

おかげで、本番までにはかなり解けるようになっていました!表おすすめ。

最初は音声分野が一番苦手でしたが、やればやるほど伸びる分野だと思います。最後はここを得点源にするぞという意気込みで一番力を入れました。

日本語の音声を勉強するのは本当に面白かったです。日本語のネイティブスピーカーとして、私たちは学校で日本語の発音を習わないんですよね。なので言われて初めて気づくことばかりで、得るものが大きかったです。

独学でやったこと⑦統計情報の確認

これも、直前に確認したことです。各機関の調査した最新の統計情報の確認です。数字を覚えるのが苦手なのと、最新の数字を確認したかったので、試験の直前にやりました。

こちらが確認した数字と公表している機関です。「赤本」についているリンク集が参考になりました。

特に「日本語指導が必要な児童生徒」については、出題されるのではないかという予感があり、記述問題に出題されても論じられるように、⽂部科学省の「外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議」の資料にも目を通りしたりしました。 結局、試験Ⅲの問題16に関連の問題が5問出題されましたので、ある意味的中したかな。

統計情報は出題されたりされなかったりなので、ここまでやる必要はないかもしれませんが、私は仕事上知っておきたい情報でもあったので、調べてみました!

独学でやったこと⑧記述問題対策

記述問題(論文)も直前に対策しました。特別なテキストは購入せず、練習は過去問と赤本の問題を解いてみたくらいです。 役に立ったのは、先ほど紹介した「はま先生」と「大根先生」の動画です。

「はま先生」は過去問の解説動画をあげてくださっていますが、他の人が書いた解答を見ながら、添削していく方法で解説してくれるので、良い解答・悪い解答の例がわかりやすかったです。

youtu.be

「大根先生」は記述問題の解答方法をまとめてくださっていて、解答の際に気をつけないといけないポイントがわかります。また、オリジナル練習問題も載せてくれていますので、練習をたくさんしたい人も参考になると思います。

youtu.be

とりあえず、問いに対する答えとして成り立っている解答が十分な文字数でわかりやすく書けていれば合格レベルではないかと思います。時間を計って書いてみて、動画を観ながら自分の解答を振り返ってみるということをしました。

試験対策はいつから始めればいいか

ぽわろんは張り切って1月くらいに勉強を始めたものの、途中で中だるみしまして、3ヶ月くらい勉強しなかった期間があったような気がします。夏くらいからまたやる気が戻ってきた感じです。

たぶん赤本を1周して、過去問を1年分やったことで範囲がわかったので「まだ間に合うな」と心のどこかで計算が働いたのでしょう(言い訳)

そして、最後まで日本語の勉強がメインではありませんでした。むしろ英語学習が日課になっていて、こちらの方に時間を割いたまま試験を迎えた感じです。読書を我慢したのも最後の1ヶ月くらいでしたね。

なので、集中して勉強できる人ならもっと短期間でも十分対策可能なのかなと思います。 私にとっては長いスパンでのんびり並行学習が合っていた感じでしたね。

最後に

試験に合格できて、1年の学習成果が実ったなと嬉しく思う一方で、試験合格はまだまだスタート地点だなと感じています。

というのは、独学で机上の学習をするばかりで教育実習のような授業の練習をしたり、教案を作ったりという機会が持てていないので、「試験に合格した=すぐに日本語を教えられる」ではないんだなぁと思います。そういう意味では、きちんと養成講座に通った方は、プラスの価値があるのではないかと思います。

この期間、他の日本語に関連する書籍も読みましたが、引き続き「どうやって教えたらいいか」は研究したり実践で学んで行く必要がありそうです。

しかし、日本語の面白さを改めて知ることができて、勉強して本当に良かったなぁと思える内容でした。今後も楽しみながらできることを増やしていきたいです!