ぽわろんの推理ノート

仕事について、人生について、人間のあれこれを考察します

おうち本箱計画を決行する運びとなった話

こんにちは、ぽわろんです。

 

最近我が家では「週末おうち本箱計画」がひっそりと流行っております(*'▽'*)

たくさんの本を好きに手に取り、読んでゆっくりするだけなのですが、とても楽しいです。

 

たくさん本を読んだ影響からか、なんだか自分も無性にエッセイというものを書きたくなってしまいまして、完全に自分の趣味ですが、今日はつらつらとエッセイ風に書いてみます笑

退屈で、そして思ったより長いですが、興味があれば覗いてみてください(*^▽^*)

 

おうち本箱計画のはじまり

 

「箱根本箱」という宿の存在を知ったのは、その宿がオープンしたばかりの頃、確かテレビの旅行番組だったか美容院でめくった雑誌だったかで見たのだろう。

 

箱根の山の中、一歩宿に足を踏み入れると、そこは天井までの本棚に埋め尽くされた、秘密基地のような場所。

暖炉の前でロッキングチェアに座りながらの読書(実は憧れのシチュエーションである)、部屋に備え付けの露天風呂で山ビューを楽しみながらの読書。

誰かが選んで部屋の前に置いてくれた本を自分の趣味とは関係なく手に取ったり、表紙だけで惹かれた本をそっとめくったり、そんな本との一期一会も期待できそうだ。

 

いつか行ってみたいと思ってはいたものの、すっかり記憶から消え失せていた。

夫との何気ない会話の中で、おそらく「コロナでどこも行けないね」なんて今の時代どこの家庭でも交わされている会話だったと思うが、「そういえば、行ってみたい宿があったっけ」と記憶の再浮上を果たしたのが「箱根本箱」だったのだ。

 

「試しに予約のシミュレーションをしてみようか」と宿のホームページまで行ってみるものの、実際お高い。「高くてもいいよ」と言っていた夫の予想をも超えていたようだ。

「まぁ、今はコロナだからね。行くのはちょっとあれだね」なんて、いつものように会話の収束を見せて終わるはずだった。

 

 

翌朝のこと。「提案があるのだけど」と珍しく夫から声がかかったので、ちょっと身構えつつ聞く姿勢を整えると、

「箱根に行かなくても、うちを本箱にしたらどうだろう」

とおっしゃる。

意味を咀嚼中の私に、「好きな本を買ってさ、好きなだけ読むんだよ」と補ってくれる夫。

 

たちまち「楽しそう!」と乗り気の私が姿を見せる。旅行に対して元々ネガティブな心配をしてしまう私は、何なら「箱根に行くぞ」と言われるよりも、この時は純粋にわくわくし始めていたと思う。

 

その後の計画は私が立てた。とは言っても実際に旅行するわけではないのだから、なんてことはない。「どこの本屋で本を入手するか」「家で過ごすときはテレビもスマホも見ない」とか「ベランダでもお風呂でも机の下でも本を読んでいいんだよ!」という具合だ。

 

週末までに夫がアウトドアショップで折り畳み式のベンチを買ってきた。これはそう、ベランダで本を読むための。夫は夫で楽しみにしているらしい。ここまでくれば、計画は成功したも同然だ。

 

当日、おうち本箱のチェックインは15時頃だろうから、それまでに諸々の用事は済ませておく。(紛らわしいだろうが、チェックインするはあくまで家である。)

チェックインしたらスマホは使えないから、朝イチで日課である英単語のノルマをクリアし、洗濯をし、そして目的の本屋へ。

 

選んだ本屋は、電車で15分くらい下ったところ。夫が幼少期を過ごした街だ。

学生時代、私もよく一緒に過ごしたのでなんとも思い出深い。当たり前だけれど、変わった場所、変わっていない場所がある。ひとつずつ点検するかのように巡って気持ちを高めてから、いよいよ本屋に足を延ばす。

 

寂れた雰囲気の中に一際目立つ、大型書店である。私たちがこの街とすっかり縁がなくなった後に登場したものだから、思い出の中にはない本屋だ。しかし、新しく、大きく、ほしいものは何でも揃っていそうな期待を感じさせる。

 

「気になったものをなんでも選ぼう」と夫からの念押し。というのも、普段全く散財しようとしない私は、こうでも言わないと悩みすぎるのがわかっているからだろう。

 

旅行に行くつもりで本を買おう。そして地元の本屋の応援になればそれでいいのだ。

そんな気持ちでしばらく気の向くままに棚の前で立ち止まっては本を開く。

正直、これだけでも、もう楽しく心満たされる思いだった。

普段は本屋に行っても、せいぜい好きな作家の本や語学の参考書などを手にとって買うくらいだ。

しかしこの日の私は敢えて普段行かない暮らしのコーナーへと目を向け、そこから惹かれる本を選んでいったのだから、新鮮な気持ちで満たされるのも無理はない。

 

この日の収穫はこれだけ。

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見て楽しい本を中心に選んだつもりだが、やはり「言葉」「花」「鳥」「猫」など自分の好きなものが見えてくる。

 

15時のチェックインに合わせて家に帰り、まずはウェルカムケーキを。(この時は月餅とハーブティーだった。)

 

さっそく椅子をベランダに設置して、目の前に広がる緑いっぱいの公園を眩しく感じ、穏やかな陽気を体に浴びながら本をめくる。

美しい日本語に触れて改めて言葉の面白さを感じたり、哲学者の言葉で人生を考えたり、ベランダという日常と非日常の間で過ごす時間は何とも愉快で心躍るものだった。

 

夕飯を食べながらも、世界遺産の写真集を眺めて世界のどこかに広がる景色と歴史に想いを馳せたり、「誰がどうしてこんな」と想像の域を出ない会話を夫と交わしたり。

これがまさに思い描いていた「おうち本箱計画」だと満足を極めたのだった。

 

チェックアウトは翌日の12時。

のんびりとベランダでコーヒーを飲みながらエッセイを読む。

普段はずっとつけっぱなしのテレビの音の代わりに、公園で遊ぶ子どもたちの声が遠く聞こえる。

夫も普段スマホタブレット2台体制で、まるで「戦う義務がある」かのように忙しそうにゲームに注力しているのが、2日間は約束通りどこかに2台をしまっている。

「なんかさ、追われてるみたいにゲームしてたけど、そのマインドを変えたかったんだよね」と言う。私からすれば「変えたいならいつでも変えればいい」と思うのだが、そう簡単なものではないのだろう。心なしか、ゲームから解き放たれた夫はいつもより穏やかな表情に見える。

 

ちなみに、大いにこの成果に満足した私たちは、翌週も「おうち本箱計画」を推し進める約束をした。

 

またしても違う本屋を選び、好きな本を入手してチェックインする。

その時の本がこれ。

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この本屋はテーマ別に本が展開してある相当楽しいところで、「映画」「物書き」「旅」「本」のコーナーに惹かれる本がたくさんあって困ってしまった。

 

しかも、2日間でこのほとんどを読んでしまうほど面白い本たちだった。

今度はこの本たちそれぞれの魅力も紹介したい。

 

なんてことのない遊びで、家で過ごす週末をまた一際心待ちにできるようになったのは、願ってもいない収穫だった。本について語る会話はいつもより深く遠く広がりを見せ、また違う時間の流れを感じさせてくれた。