『その犬の歩むところ』ボストン・テラン
こんにちは、ぽわろんです。
去年、「ミステリが読みたい!」海外編5位、「週刊文春ミステリーベスト10」海外編5位、「このミステリーがすごい」海外編8位と、色々なミステリーランキングでその名を目にした『その犬の歩むところ』(ボストン・テラン著/田口俊樹訳)を読みました。
去年、id:Reiko_NBさんのこちらのブログを拝見して、これは読んでみたい!とずっと思っていたのです。
本を読み終えてからまたこちらのブログを振り返ると、これ以上のレビューはできまいと思いました。
なので、感想を少しだけ…。
ギヴという犬が愛情を注いだ人々、見てきたアメリカの過酷な実情、その犬の一生を傷付いた兵士である語り手がひとつひとつピースを嵌めるように紐解いていく、そういう意味では確かに「ミステリー」というジャンルになるのかも知れないが、その枠を超えて「純然たるアメリカ小説」であると感じました。
戦争、テロ、災害、虐待、アメリカに起きた悲惨な出来事で傷ついた人々。
そしてそんな人々に寄り添う犬。
その再生を描くため、物語は過去から現在へ。そしてまた過去を探求し、新たな未来へと進んで行く。
読むのがつらくなるような重いテーマではありますが、そこにあるのは絶望や喪失だけではなく、犬の気高さ、純粋な愛に呼応して再生していく人々の見せる救いがあります。
今までに読んだどんな本とも違う、印象的な作品でした。